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概要

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川崎西税務署長エッセイ釣り好き署長の「幻の魚と釣り」のお話です幻の魚川崎西税務署長佐々木清人辞典を開くと、幻とは「実際にないものがあるように見える」ことであるから、実際にいる魚を「幻の魚」と呼ぶのは適切ではないかもしれない。しかし、乱獲や環境破壊等により、多くの魚が少なくなり、昔は釣れていた魚が今は釣れなくなってきた魚もいる。東京湾でキス釣りといえば、今はシロギスだけであるが、高度成長期の昭和4 0年代前半までは「青ギス」と呼ばれるキスも釣れていた。この青ギス、東京湾では絶滅したとも言われ、今では釣れることはない。ところで、関東近辺の根魚釣りでは、「鬼カサゴ」という魚が釣れる。標準和名「フサカサゴ」、英名「スコーピオンフィッシュ」と呼ばれる魚である。この魚も最近2キロを超える大型のものは殆ど釣れなくなり「幻の魚」となった。鬼カサゴは、その名から想像されるとおり、姿はグロテスクで背びれ、胸鰭等に毒針があり、刺されると大変痛い。そ鬼カサゴの痛さは5時間たっても止むことがなく、スズメ蜂に刺された時に匹敵する痛さである。鬼カサゴは、毒針があり危険な魚ではあるが、その姿に似ず身は淡白で、刺身、鍋ともに美味しい。さらに、その鰭を干して鰭酒にするとフグの鰭酒よりも美味しい。このほか、南房総での根魚釣りでは漁師もめったに釣ることのない魚がいる。それは浜値キロ1万円もする「幻の高級魚アカムツ」である。北陸地方では「ノドグロ」と呼ばれる魚で、ムツの名称はついているがスズキの仲間である。この魚は刺身も煮魚もいいが、一夜干ししたものを焼いて食べると大変美味しい魚である。さて、私が釣った最大の魚を紹介しよう。それは「幻の巨大魚」と言われる「アブラボーズ」である。体重の4割は脂で深場に棲んでいる。食べ過ぎると下痢を起こすが、少量であればギンダラに似た美味しい魚であり、伊豆大島周辺や平潟沖のマダラ釣りの外道で釣れることがある。いずれにしても、海釣りでは何が釣れるか分からない。そのワクワクする気持ちや大物を釣った時の満足感は、何事にも変えられないひと時である。ストレスの解消にもなり、これからも私のライフワークの一つとして続けていきたい。アカムツアブラボーズ5