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概要

vol85_kawanishi

「請求書等保存方式」で十分対応できるものと考えるので、導入の必要はない。(3)税の滞納全体に占める消資税の割合は依然として高く、国民に消費税に対する不信感を与える一因ともなっている。本来、消費税は預り金的な性格を有する税であることから、消費税率のさらなる引き上げを考慮すると、その滞納防止に向けて、制度、執行面においてより実効性のある対策を講じる必要がある。3.財政健全化に向けて(1)財政健全化の達成は税の自然増収や増税のみに頼るのではなく、聖域なき歳出削減が不可欠である。その際には社会保障をはじめとした各歳出分野に削減目標を定め、その達成に必要な具体的方策と工程表を明示して着実に実行することを求める。(2)消費税率のさらなる引き上げに当たっては経済への負荷を和らげる財政措置も必要になろうが、財政健全化の阻害要因とならないよう十分注意すべきである。(3)国債の信認が揺らいだ場合、金利の急上昇など金融資本市場に多大な影響を与え、成長を阻害することが考えられる。市場の動向を踏まえた細心の財政運営が求められる。4.行政改革の徹底?社会保障の安定財源確保と財政健全化のために、消費税が引き上げられることは重要であるが、その前提に「行革の徹底」があったことを改めて想起する必要がある。?「まず隗より始めよ」の精神に基づき地方を含めた政府、議会が自ら身を削らなければならない。(1)国・地方における議員定数の削減、歳費の抑制(2)国・地方公務員の人員削減、能力を重視した賃金体系による人件費の抑制(3)特別会計と独立行政法人の無駄の削減(4)民間にできることは民間に任せるなど、積極的な民間活力導入を行って成長につなげる。5.共通番号制度について?マイナンバーの運用に当たっては国民の利便性を高めるとともに、制度内容を国民に周知し、定着に向けて取り組んでいくことが必要である。?個人情報の漏洩、第三者の悪用を防ぐためのプライバシー保護など制度の適切な運用が担保される措置を講じるとともに、コスト意識をもつことも重要である。6.今後の税制改革のあり方?今後の税制改革に当たっては、1国際間の経済取引の増大や多様化、諸外国の租税政策等との国際的整合性2経済の持続的成長と雇用の創出3少子高齢化や人口減少社会の急進展4グローバル競争とそれがもたらす所得格差など、経済社会の大きな構造変化―――などにどう対応するかという視点等を踏まえ、税制全体を抜本的に見直していくことが重要な課題である。Ⅱ.経済活性化と中小企業対策1.法人税率の引き下げ?復興特別法人税が1年前倒しで廃止され、法人実効税率は35.64%に引き下げられた。しかし、近年、国際競争力の強化や外国資本の誘致などを目的に大幅な引き下げが行われているアジア、欧州各国との税率格差は依然として大きい。こうした状況が続けば、国内企業の海外移転が加速し、雇用への悪影響、さらには経済全体の衰退につながる恐れがある。これらの観点から、法人の税負担は地方税を含めて大幅に軽減すべきであり、政府が示した来年度からの法人実効税率引き下げを着実に実行すべきである。?税率引き下げの代替財源については、財政健全化目標との関係なども踏まえれば恒久財源の確保を原則とすべきで、具体的財源は税制全般の改革の中で検討されることが望ましい。(1)法人実効税率20%台の実現(2)代替財源として課税ベースを拡大するに当たっては、中小企業に十分配慮すべきである。2.中小企業の活性化に資する税制措置(1)中小企業の軽減税率の15%本則化と適用所得金額の引き上げ中小法人に適用される軽減税率の特例15%を時限措置ではなく、本則化するよう求める。なお、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長すること。また、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げるよう求める。(2)中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置は、以下の通り制度を拡充するとともに本則化することを求める。1中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設備」を含める。2少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例については、損金算入額の上限(合計300万円)を撤廃する。3.事業承継税制の拡充?我が国企業の大半を占める中小企業は、地域統済の活性化、雇用の確保などに大きく貢献しており、経済の根幹を支える重要な存在である。その中小企業が相続税の負担等により事業が承継できなくなることは、日本経済に大きな損失を与えるものである。?平成25年度税制改正において、納税猶予制度の要件緩和や手続きの簡素化が図られるなど大幅な見直しが行われた。しかし、中小企業が円滑な事業承継を行うにはまだ不十分である。11