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概要

kawanishi_vol83

地域を歩いて旧王禅寺村を歩く王禅寺中央小●王禅寺●王禅寺東2どんぐり山緑地王禅寺中央中●王禅寺中学校前●裏門坂●王禅寺ふるさと公園●王禅寺●●籠口の池琴平神社琴平神社儀式殿●●稲荷森稲荷社琴平神社東柿生小学校王禅寺東5●石橋王禅寺東6●化粧面谷公園神明社虹ヶ丘1県立●麻生養護学校●●虹ヶ丘公園虹ヶ丘小王禅寺ふるさと公園王禅寺禅寺丸柿の原木と北原白秋の碑(右)旧王禅寺村は川崎市の北西部、現在の麻生区王禅寺・白山・虹ヶ丘の一部を含む地域だ。鎌倉時代の戦乱にまつわる話も多く残されており、“新田義貞の鎌倉攻め”ではその経路になった。天正18年(1590年)の「豊臣秀吉の禁制」にも王禅寺村は登場しており、NHK大河ドラマの“お江”が徳川秀忠に嫁ぐおり、化粧領として与えられた土地として歴史上の記録が残っている。気候のよい五月晴れの日、旧王禅寺村を散策してみた。今回は新百合ヶ丘駅からバスで「裏門坂」まで行き下車、近くの「ふるさと公園」からスタート。川崎市制60年を記念して造られたこの公園は多摩丘陵の自然が残り、緑豊かなことから多くの人に利用されている。公園に隣接する寺が「王禅寺」。延喜21年(921年)、高野山の三世無空上人が、醍醐天皇から「王禅寺」の寺号を賜り創建され、“関東の高野山”と呼ばれた。周辺には大きな樹木が茂り、北原白秋の歌碑もある。前庭には、樹齢450年と伝えられる禅寺丸柿の原木があり、地名“柿生”の由来と言われている。王禅寺を南西に下り、小高い山を登ると「琴平神社」がある。この神社の御祭神は天照大御神(伊勢の神宮の神様)、大物主神(四国讃岐の金刀比羅宮の神様)。山の上の本殿は焼失、平成23年に再建された新しい御社殿だ。境内には「がまんさん」と呼ばれる手水鉢をかついだ山伏姿の石像があり、“我慢することによって物事の貫徹を願う”と、地域の人々に大切にされ続けている。本殿の山を下り、赤い大鳥居がある場所が儀式殿。家内安全や商売繁盛などの祈祷を行っている。境内には琴平銭洗い弁天、福寿稲荷、戎様と大黒様の石像などもあり、趣深い雰囲気の神社だ。大鳥居を後に少し南西に進むと、三叉路の交差点「石橋」に出る。ここは早野村と王禅寺村の境。暗渠(あんきょ)になっており、昔の石の橋の面影はない。交差点の供養塔の石仏群を見て右折、更に路地を右折して細い道を少し進むと、王禅寺村5鎮守の一つ、小さな「神明社」がある。神明社を右に見て坂道を上がり、しばらく歩くと右側に108段の階段の稲荷森稲荷(とうかもりいなり)がある。やはり王禅寺村の5鎮守の一つである。来た道を更に進み、最初の路地を右折、つづら折りの小さな山道を登った住宅街の公園内に「籠口の池(ろぐちのいけ)」がある。ここは“お江”の化身が白蛇となって現れたと伝えられている池で、昔は下麻生の灌漑用水として大切にされていた。現在は雨水の調整池となっており、周囲に桜の木が植えられ春は花見の名所になる。今回の散策は「籠口の池」でゴール。散策中に絶滅種に指定されているタマノカンアオイ(多摩の寒葵)を見付けたりと、楽しいミニハイクができた。多くの自然や歴史が残るこの地域、皆さんも散策してみてはいかがだろう。(取材:佐々木邁/麻生観光協会の歴史観光ガイド「旧王禅寺村を歩く」に参加して)琴平神社本殿の「がまんさん」タマノカンアオイ籠口の池3